結核の知識②外国人の結核検査を義務化

2019年度に入国前結核検査を義務化

1月20日、西日本新聞朝刊によると、政府は、入管法の改正を受けて、日本に長期滞在する外国人に対して入国前に指定病院での検査を義務化し、2019年度中にも実施する方針です。

対象国は、フィリピン、中国、ベトナム、ネパール、インドネシア、ミャンマーの6か国。外国生まれの新規患者のうち、これらの国々の出身者で8割を占めているからです。

入国前検査での捕捉率は2割程度?

しかし、結核は感染していても発症するまでの潜伏期間が1年以上と長いことから、感染症の専門医は、入国前の検査で捕捉できる割合は2割程度にとどまるだろうと述べています(※1)

これらの国々と先進国の、人口10万人当たりの結核罹患率を下表に示していますが、受入対象国の罹患率と、先進国のそれとに大きな格差のあることがわかります。

外国人の結核患者数が増加中

先進国のなかでは、際立って高い割合を示している日本ですが、新規患者数は年々減少しています(17年の新規結核患者数は16,789人)。一方、留学生や労働者などの患者数は1,530人で、13年の1,064人(全体の5.2%)に比較すると4年で1.5倍に増えています。今後、外国人労働者が増加していくと、患者者が飛躍的に増えていくのではないかと危惧されています。

雇用主は、労働者の結核感染に対して事前のリスク対応が必要

すでに日本で働いている外国人労働者が、結核に罹患していると判明した場合、本国に送り返されることを恐れて、病気を事業主に報告せず放置している場合も多く、これが感染の広がる原因にもなると専門医は述べています。結核は、初期であれば周りの人に感染させることもなく、服薬しながら仕事も通常の生活もできる病気です。

せっかく雇用した外国人労働者が働けなくなれば、事業所にとっても大きな痛手となります。事業主はあらかじめ結核に関する正確な知識を得て、外国人労働者にとっても、事業所にとっても良い結果になるよう、労働条件や労働環境の改善を含めて適切に対処していく必要があります。(※1)

※1 ビデオニュースドットコム 2018.12.8「外国人材拡大に日本の医療のセーフティーネットは大丈夫か」

諸外国と日本の結核罹患率(人口10万人当たり)

国名
罹患率年次
米国2.72016
カナダ4.82016
デンマーク5.12016
オランダ5.22016
オーストラリア5.72016
イタリア6.42016
ドイツ7.02016
スウェーデン7.12016
フランス7.22016
英国8.82016
日本13.32016
フィリピン2452015
中国602015
ベトナム1092015
ネパール1252015
インドネシア1272015
ミャンマー2592015

公益財団法人結核予防会結核研究所疫学情報センター